パンツじゃなくても観てるこっちが恥ずかしい - 「ストライクウィッチーズ」
実はコミケの直前頃から見始めていたものの近所のレンタルDVD屋になかなか全巻揃わず、最近になってようやく最終話まで観終えたので感想でも。
「パンツじゃないから恥ずかしくないもん!」の衝撃
あまりにも有名すぎるこのキャッチフレーズ。これが、本当にたったの一言で内容を言い切ってしまっているのがまず衝撃でした。
画面に写る見た目があまりにも常軌を逸しているのだけれど、作中の登場人物が全くそれに触れることが無く話が進んでいくので最初の数話は見ていて頭が混乱してくることこの上なし。
セーラー服の上着だけ+スクール水着(のように見える「ズボン」)で主人公が平然と登場した時点でどう反応したらいいのか困る困る。
更に平然と治癒魔法を使って怪我をした親友のことを治療し始めるわ、魔法を使う際にいきなりなんの説明もなく耳と尻尾が生えるわ、あまりのことにこちらの認識が付いていきません。なんでそんなに股間ばっかり写すんだよ……と唖然とする気分。
もちろん、本作に登場する女の子達の格好が「はいてない」ことは事前に承知していました。だがそれでも頭が付いていかないのです。
そしてあれだけ奇抜な事をやっていながら、まったくその奇抜さをひけらかしてこないのが上手いところ。あまりにも平然としすぎていることから来る強烈なひっかかりが、やがて作品への興味に転化して行くと言いますか。
まことに不思議な体験でした。
「奇抜な世界設定なら、物語は王道にしなければいけない」
本作の軍事考証担当の鈴木貴昭氏が去年のIFCONで語っていたのがこの言葉。
訳の判らない世界設定に訳の判らないストーリーを組み合わせると誰にも付いていけないものが出来るから、どちらかは判りやすい王道にしなければいけない、と言うコンセプトを見事に実現しているのには感心してしまいました。
「パンツじゃないから〜」と行った部分を取り去りストーリーだけに着目してみると、実にまっとうな友情と成長の物語なんですよ。それこそひねった部分が欠片もないくらいに。
11人ものメインキャラクターが居るわりに全員にきちんと焦点が当たり、それぞれに違った方向に「可愛い」のにも感心することしきり。
3話でいきなり大量の女の子達が登場してきたときには誰が誰だか判らなかったものの、そこから主人公が部隊に溶け込んでいく過程と合わせて1人づつスポットを当てていき気がつけば全員をきちんと把握できるようになっていました。
そして「今回は○○(キャラクター名)の回」と進んでいきながら、その裏できちんと全体を貫く物語を一貫して進めていく構成の妙。
全12話という短さから語り足りない部分もいくらか目につくけれど、上げて落として盛り上げて一つの物語として成り立たせているため観終えた後に残るのはとても爽やかな後味でした。
ペリーヌが可愛すぎて俺はもうどうしたらいいのかわからないよ……
女の子キャラクターを前面に押し出した作品なので彼女たちの可愛らしさがそのまま作品の魅力に繋がるところですが、その点でも全く問題は無し。見た目があんなの(「パンツじゃないから〜)といかにも媚びているのに、それを感じさせない嫌味のない可愛らしさを表現できてます。
それぞれに方向性の違う娘達が11人もいれば、誰だって1人くらいは好きになれるでしょう。加えて言えば「嫌いになる/好きになれない」娘が(俺の場合は)まったく居ませんでした。皆が皆それぞれに可愛く思えるというか。
これ以上キャラクターの魅力について書いているとペリーヌかわいいよペリーヌとしか言わなくなる恐れがあるのでこの辺で止めるけどやっぱりペリーヌはかわいい。
それにしても、観始める前はまさかここまで楽しめるとは思っていませんでした。表面的な見た目に騙されると損をするタイプの作品ですよ、こいつは。