早狩武志シナリオ新作「恋ではなく」発売日決定&異色のスタッフコメント発表
恋ではなく ―― It's not love, but so where near.
去年の6月に第一報が出てから(早狩武志の2年ぶりの新作!! - 「恋ではなく―― It's not love, but so where near.」サイト公開 - 偏読日記@はてな参照)長らく待ちましたが、ようやく「恋ではなく ―― It's not love, but so where near.」の発売日が2011/4/28に決定したとのこと。早狩氏が単独で企画・シナリオ全てを担当するゲームは2007年の「潮風の消える海に」以来なので3年ぶりになりますか。はてなキーワード「早狩武志」のたったひとりのメンテナとして過ごしたこの3年……長かったよ……
公式サイト掲載の情報を見る限りでは田舎町(酒田?)を舞台にした映研・写真部の若者達の群像劇のようで、まさに早狩氏が得意とする舞台と物語のスタイル。
キャラクター紹介ページにそれぞれの「使用カメラ」が詳細に載っているエロゲなんてたぶん後にも先にも本作しかないのではないでしょうか。趣味に走りすぎだとは思うけれど、それが逆にたまらない。
そして発売日と同時に公開されたスタッフコメント。これがまた興味深いというか、非常に異色なものでした。
原文(恋ではなく ―― It’s not love, but so where near. スタッフコメント)は長いので以下抜粋です。
今回のゲームでは「シャングリラ・スマート」様が実験的な試みを許してくださったので、これ幸いとばかりに大いにチャレンジさせていただきました。
恋ではなく ―― It’s not love, but so where near. スタッフコメント
そのぶん、いろいろな意味で従来までのゲームにはない内容になっています。
(早狩武志:企画・シナリオ)
今作では様々な実験的な要素もございます。その中の大きな点として、今作には「ヒロイン」が存在しません。
恋ではなく ―― It’s not love, but so where near. スタッフコメント
八坂典史と樺島祐未、二人が主人公となり、それぞれの視点を持って物語が進みます。
そのため今作でのHシーンは全て八坂典史と樺島祐未のシチュエイションのみとなります。
(中略)
主人公がライバルとキスやHに近しいことをすることはもちろん御座いませんが、、ライバルと二人で出かけることや手を握ることなどは御座います。
そのためいわゆる"寝取り""寝取られ"というのに敏感な方は、その点予めご了承の上お楽しみいただければ幸いです。
ただしその分、今までの美少女ゲームでは見ることのなかったであろう物語を皆様におみせすることをお約束いたします。
本来であればこのようなことは明記せず、物語の中で知っていただく事がよいのは承知していますが、ブランドの判断として事前に告知させていただきますこと、お客様にはお許しいただければと思います。
(春山学:プロデューサー)
いつも通りの早狩氏の物言いにちょっとした懐かしさを感じながらスタッフコメントを読み進めていたら、プロデューサーのコメントがいやに具体的に作品の内容について踏み込んでいて驚いてしまいました。ユーザーから疑惑をもたれそうな部分を先手を取って潰しているとでも言いますか。
いわゆる「寝取られ」を予想させるような要素がここまでしなければならないくらいに本作にあるとはあまり思えないのですが…… もしや、エロゲ一般に比して男性キャラクターの数が多いあたりがダメなのか。「早狩武志シナリオ=寝取られ」という図式が成り立つわけでもありませんし。
俺としては発売前に妙に細かいところまで「解説」されてしまって期待をしぼまされた気分だったり。どのみち購入するのは確実なんですが、「大いにチャレンジさせていただきました」というフレーズだけで何が待っているのかあれこれ予想したりして過ごしたかった。
関連記事
早狩武志の出世作にして代表作である「群青の空を越えて」レビュー記事。「恋ではなく」の発売前に一度くらい再プレイしてもいいかも。
企画・シナリオ全てを単独で担当したゲームとしては一番最近の作品である「潮風の消える海に」感想記事。
どんなゲームかって? こんなゲームさ!!
氏のライトノベルデビュー作の感想記事。本作は「寝取られ」の文脈で語られることもありますが、本作は付き合うどころか告白すらせず一方的に秘めた片思いの娘が自分以外の男とくっついたというシチュエーションなのでどちらかと言えば「疑似寝取られ」だと思うんだ。
「ハーフボイルド・ワンダーガール」を読んだ勢いで書いた早狩武志作品全般の紹介記事。
ゲームシナリオライターとしていちばん最近の作品である「ナルキッソス3」感想記事。何も構うことなく全力で趣味に走っているのに面白いお話になっているというかなり希有な体験をさせてもらったものでした。