偏読日記@はてな

本を読んだりゲームをしたり、インターネットの話をしたりします。小説も書きます。

「ゴールデンタイム」(1)〜(3)

ゴールデンタイム〈1〉春にしてブラックアウト (電撃文庫)
ゴールデンタイム〈1〉春にしてブラックアウト (電撃文庫)

晴れて大学に合格し上京してきた多田万里。大学デビュー、東京デビュー、ひとり暮らしデビュー、と初めてのことづくしで浮足立つ彼は、入学式当日、不意打ちにあう。圧倒的なお嬢様オーラ、完璧な人生のシナリオ、得意なのは一人相撲。襲撃者の名は加賀香子。薔薇の花束を万里に叩きつけた彼女は、万里の友達でもある幼馴染みの柳澤を追いかけて、同じ大学に入学してきたという。そんな眩しくも危うい香子が気にかかり、放っておけない万里だが―?竹宮ゆゆこ&駒都えーじの強力タッグが贈る青春ラブコメ。

(Amazonより引用)

香子さんかわいい!!


アニメ版とらドラ!をきっかけに竹宮ゆゆこ作品を知り、小説版とらドラ!を読んで楽しめたのでその流れで次回作の「ゴールデンタイム」も読んでみました。去年の今頃に1巻が発売されたときに何となく買い逃していたのに今頃まとめて読んだのは 飲み会 行くたび 積みラノベ 増えるね - 偏読日記@はてな で書いたとおりオタ飲み会で勧められたからでもあります。

上記のあらすじにも登場している「完璧なお嬢様」こと加賀香子の造形がとても巧みで感心。「容姿は完璧なのだけど内面は少々残念なお嬢様」というギャップ自体がすでに類型ですが、そういう手垢の付いたところから微妙に半歩ずらしてくる感じが素晴らしい。1巻での登場当初は本当に印象が悪く「こんなのがメインヒロインかよ……」と落胆しながら読み進めていたらいつの間にかやたら魅力的に見えるようになっている自分に驚きですよ。
主人公達が大学生であることについて発売当初に「読者の年齢層が上がったことを反映している」なんて言説がみられていた覚えがありますが、読んでいる限りではそれはこじつけがすぎると思いますね。高校を舞台にしていた「とらドラ!」だって高校生のみを対象とした物語ではなかったですし。立場としては一人暮らしして自立しているけれど、社会的には一人前ではないというモラトリアムな時期だからこそのお話をやろうとして「東京の大学生」というある種の最大公約数のような舞台設定になったように俺には思えました。
香子のある種の不安定さ、魅力に繋がる放っておけないところも大学生という立場を生かした演出がされていると思います。高校生ではああは行かないし、働いていたらあれでは単なる社会不適合者。
あと、友達以上恋人未満のあいまいな関係だけでなく、はっきり思いを伝えて付き合いだした後の関係を描いているのはたまらないですね。3巻とかもうにやにやが止まらなかったよ。


ゴールデンタイム2 答えはYES (電撃文庫)
ゴールデンタイム2 答えはYES (電撃文庫)

ゴールデンタイム〈3〉仮面舞踏会 (電撃文庫)
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